最近なにかとベテルギウスが話題です。
なぜ話題かというと太陽系のごく近距離で爆発するかもしれないから!です。
人の一生の中で超新星爆発を肉眼で拝めることはめったなことではありません。
奇跡に近いです。
今回はそんな超新星爆発に関する話題です。
夜空でベテルギウスを見つけてみましょう。
爆発する瞬間が見られるかも?
この記事のポイント
超新星爆発とはどういうものかがわかります
ベテルギウスの見つけ方がわかります
ベテルギウスの次に話題になる星がかわります
ベテルギウスの見つけ方
ベテルギウスの見つけ方ですが、まずオリオン座を探すことから始まります。
オリオン座は三ツ星が目印なのでおおよその方角さえわかれば見つけることができますね。
オリオン座ではオリオンの右肩の部分にあたります。
『三ツ星の左上の赤い星』がベテルギウスになります。
なお、ベテルギウスはオリオン座の1等星で、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンとともに冬の大三角形を形作っています。
ベテルギウス(オリオン座)のおおよその方向ですが、季節と時間により異なります。
オリオン座の見つけ方:春
夕方のみチャンス。西の空に見られます。
オリオン座の見つけ方:夏
残念ながら見れません。
オリオン座の見つけ方:秋
明け方のみチャンス。東の空に見られます。
オリオン座の見つけ方:冬
ほぼ一晩中見られます。
夕方なら東の空。
真夜中なら南の空。
明け方なら西の空。
都心の中心部では空が明るいので三ツ星を探すのが難しい場合があります。
その場合は星座早見盤で探せばばっちりです^^
話題のベテルギウスとは?
ベテルギウスはオリオン座の1等星。
赤色巨星の変光星です。
超新星爆発を起こすのでは?と近年話題になっていますね。
ベテルギウスの恒星のスペックは下記のとおり。
- 等級:0.0~1.3等
- スペクトル型:M2
- 大きさ:太陽の1,000倍
- 質量:太陽の20倍
- 距離:640光年
出典:JAXA宇宙情報センター(http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/betelgeuse.html)
めちゃくちゃ大きくてめちゃくちゃ重い星なんですね!
超新星爆発とは
ベテルギウスが超新星爆発しそう!って話題になっていますが、そもそも超新星爆発ってなんでしょう?
星が爆発するとうイメージはできますが、星が爆破すること自体よくわかりません。
それに超新星爆発を分解すると「超」「新星」「爆発」です。
新しい星を超えた爆発って何でしょうね。
これを理解するにはまず星の一生を知る必要があります。
ガスの集合~原始太陽
宇宙空間に漂っていたガスがお互いの引力で少しずつ集まってきます。
長い時間をかけて多量のガスが集まり、やがて中心部で核融合が始まります(=原始太陽の誕生)。
恒星の幼年期~成年期~老年期
原始太陽は青白く、かつ高温に光っています。
幼年期は青白色く輝き表面温度は2万度以上に達します。
成年期は白~黄色で、表面温度は6千度以上。
現在の太陽は成年期に属します。
その後徐々に表面が赤くなり老年期を迎え、表面温度は3千度以下と低下してきます。
なお、恒星の表面温度はウィーンの変位則により恒星表面の色で調べることができます。
恒星の最後~超新星爆発
老年期を過ぎると、いよいよ恒星も最後の時を迎えます。
恒星が水素を核融合して明るく輝いているのはご存じだと思います。
歳をとると水素の核融合反応のカスであるヘリウムが中心部に溜まり、今度はヘリウムが核融合を起こします。
徐々に重い元素の核融合が進み、熱量も増してくるため恒星の直径が広がってきます。
直径が広がると表面の面積も広くなるため表面温度は下がり、赤っぽくなってきます。
これが赤色巨星です。
そしてさらに重い元素の核融合が進み、ケイ素に達する頃に最大化し、ここから運命が大きく分かれます。
太陽の質量の8倍よりも小さな星の場合はそのまましぼんで白色矮星になり、8倍よりも大きな星の場合は大爆発(=超新星爆発)します。
超新星爆発の残骸~ガスの集合
超新星爆発で撒き散らされたガスが再度集合し、原始太陽を形成します。
原始太陽=新星と考えるなら、原始太陽の材料を撒き散らした超新星は、新しく生まれた星「新星」の前の段階ですね。
そういう意味で「超」がつくのですね。
なお、「新星」という言葉は天文学では別の意味の星を指しますのでご注意ください。
質量に応じた恒星の最後
上記の例では太陽の質量の8倍以上だと超新星爆発を起こすと記しましたが、さらに大質量の恒星でれば重力崩壊を起こしてブラックホールになります。
太陽を基準に質量に応じた恒星の最後を見ていきましょう。
- 太陽の0.08倍以下:そもそも恒星になれない(木星・土星など)
- 太陽の0.08~8倍:ガス抜け→白色矮星(M57環状星雲など)
- 太陽の8~30倍:超新星爆発→中性子性(M1かに星雲など)
- 太陽の30倍以上:超新星爆発&重力崩壊→ブラックホール(銀河系の中心)
出典:JAXA宇宙情報センター(http://spaceinfo.jaxa.jp/)
太陽の20倍の質量を持つベテルギウスは超新星爆発を起こすわけですね。
ちなみにブラックホールになるにはどれくらいの密度(質量)が必要かというと、地球を2センチ角までギュッと圧縮した程度のようですよ。
かたい岩石で覆われている地球が2センチ角なんて想像できませんね。
ブラックホールの密度の高さが分かるかと思います。
過去の人類有史以降の超新星爆発
ちょこっと横道にそれてみましょう。
人類か誕生して歴史に残されている超新星爆発をまとめました。
・1054年(推定)
おうし座にあるかに星雲が超新星爆発したそうです。かに星雲はそのときの名残なんですね。
・1572年カシオペア座(発見者:デンマークの天文学者チコ・ブラーエ)
最も明るいときは金星と同じくらい輝き、昼間も見えたそうです。
・1604年へびつかい座(発見者:ドイツの天文学者ケプラー)
明るく輝く星が見られたそうです。
超新星爆発による現代社会への影響は?
超新星爆発が起きると様々な粒子や波が地球へやってきます。
- ガンマ線
- 重力波
- 明るさ
- 粒子
ガンマ線バースト
ガンマ線バーストというのは放射線のひとつである、ガンマ線がごく短時間のうちに大量に放出される現象です。
これによる影響がNATIONAL GEOGRAPHICに最近の研究成果がまとめられています。
4億4000万年前(オルドビス紀終盤)の地球で発生した大量絶滅はガンマ線バーストの可能性がある。
6500光年以内で発生したガンマ線バーストが地球に届けばオゾン層を破壊して酸性雨を降らせ、地球寒冷化を引き起こす恐れがある。
出典:NATIONAL GEOGRAPHIC(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/1075/)
上記研究成果は大量絶滅の一説に過ぎませんが、太陽系のごく近距離でガンマ線バーストが発生した場合には我々人類もただでは済まされないでしょう。
ただし、ガンマ線バーストは超新星爆発の際、全方向に広がるのではなく、軸方向に指向性をもって放射され放射の範囲はごく限られるため、放射の方向に太陽系が位置するかどうかは確率の問題になります。
なお、ベテルギウスの軸は太陽系の方向から大きく傾いているため、ガンマ線バースト直接的な影響は少ないと思われます。
重力波
影響は小さいと予想されます。
明るさ
明るさ(可視光)=電磁波なので波の一種ですね。
ベテルギウスが超新星爆発を起こしたら満月並みに明るくなる、と予想している人もして、夜行性の生物を中心に生態系に影響を与えそうです。
なので食糧問題が心配になってきます。
粒子
地球に届く粒子としては素粒子のニュートリノが考えられます。
素粒子は物質を通過しますので無害です。
ですが、ニュートリノはベテルギウスの観測に役立つそうですよ。
「スーパーカミオカンデ」での実験でもわかるように、ニュートリノが水と衝突すると稀に発光することがあります。
ニュートリノは光の速度よりも速い(ほんの少しだけ速いそうです)ので、大量のニュートリノが検出されたらその直後にベテルギウスの超新星爆発が見られるかもしれません。
変光星って何?
変光星とは
ここで再度文字を分解すると「変光」する「星」になります。
光の変わる星。
明るさの変わる星。
明るさが変わる理由については諸説あります。
・赤色巨星の
・惑星もしくは連星系の食
ベテルギウスは
星の明るさについて
星の明るさは等級で表します。
肉眼で見える最も暗い星は6等級。
宵の明星や明けの明星知られる金星はマイナス4等級くらい。
全天で最も明るい恒星はシリウスでマイナス1.5等級くらいです。
ちなみに恒星の数はこうなります。
等級 星の数
- 1等級以上 21
- 2等級 67
- 3等級 190
- 4等級 710
- 5等級 2000
- 6等級 5600
参考HP 国立科学博物館HP https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/seiza/seiza01.html
なんか、等級と言われてもピンときませんね。
明るさの比較では1等級毎に約2.5倍明るさが変わります。
1等級を1とすると
0等級は1×2.5で2.5倍、
2等級は1÷2.5で0.4倍になります。
なお、実務的には明るさの比較は望遠鏡で見て、ピンボケさせて比較してどちらの星が明るいか比較します。
次に超新星爆発する星は?
現在、肉眼で見えている星で、ベテルギウスの次に超新星爆発を起こす恒星は次のとおりです。
アンタレス
アルデバラン
出典:
そうは言っても何万年後か、何千万年後、もしくは数億年先かもしれません。
なお、上述したように地球が壊滅するような超新星爆発は?年後なので、この記事を読んでいる方は誰も生きていませんね^^;
終わりに
人間一生からすると恒星の一生のタイムスパンは長いので恒星がそろそろ爆発しそうだ、と言っても人間の時間からすれば数世代もしくは数千世代も先であったりします。
今回、ベテルギウスが超新星爆発しそうだ!と話題になっていますが、恒星のタイムスパンで見ればすぐなのでしょうけど、人間で考えるとまだまだ先かもしれません。
そうは言ってもなかなか見られない天文現象です。
一生の間に見られたら超ラッキーですね^^
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