アパートの長期修繕計画作成時に参考になる本やサイトの紹介をしていきます。
『長期修繕計画』は賃貸住宅の大規模修繕積立金の損金算入制度(全国賃貸住宅修繕共済協同組合による共済掛金制度)利用の要件のひとつとして挙げられています。
▶賃貸住宅の大規模修繕積立金の損金算入制度はいつから始まる?内容や注意点について
個人でアパート経営をしていると大規模修繕の実施時期が曖昧になりがちで、外壁が汚れてきた、雨漏りしてきた、などの不具合が発生したタイミングで修繕を実施しがち。
実施時期が曖昧だとついつい修繕のタイミングが遅れがちになり、微小なクラックからの雨水の侵入により建物内部で劣化が進んでいたりします。
『長期修繕計画』を立てて、推奨されるタイミングで修繕を実施すれば建物の健康状態を維持することができ、価値の高い状態を保つことができます。
しかし事前に長期修繕を立てるのは案外難しいもの。
どんな項目があり、どの程度のサイクルで行い、どのくらいの費用が掛かるのか、目安が欲しいところ。
最終的には専門業者の見積もりを取ることになると思いますが、目安を知ることによりある程度のイメージができますね。
目次
アパート長期修繕計画作成の参考になる本の紹介
賃貸住宅版 長期修繕計画案作成マニュアル(改訂版)
購入先:https://www.jpm.jp/books/(日管協のサイトに飛びます)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)から発行されているマニュアルです。
日管協は全国賃貸住宅修繕共済協同組合を立ち上げた団体のひとつで、令和3年12月時点で2,019社以上の不動産管理会社が会員となっています。
マニュアルと言ってもわずか18ページの薄い冊子。
ですが、内容は充実しています。
建物本体、室内設備、配管の修繕周期の目安が示されており、付属の長期修繕計画表には各部位の修繕の目安も記載されています。
日管協のページの書籍一覧に表示されていない場合は直接問い合わせましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル17階
電話:03-6265-1555 FAX:03-6265-1556
数年前(2019年頃)に日管協に問い合わせて購入。購入価格は忘れてしまいましたが、それほど高いものではなかったと思います。
賃貸物件のオーナー・管理会社のための大規模修繕論
大規模修繕の専門書です。
施工時期のタイミング、いくらかかるのか、業者の選定方法など事細かに解説されています。
事例にて確認ポイントの解説や修繕の前後写真が載っていたりと具体的なイメージがしやすい内容となっています。
また、本書は大規模修繕の『成功』についても言及しています。
投資したお金以上のリターンが得られること―これこそが私の考える大規模修繕の『成功』です。
(中略)具体的には↓
- 入居者が増える、空室が埋まる
- 集客力が上がる
- 家賃の下落を食い止める
- 建物寿命が延びる
(中略)端的に言えば、大規模修繕で1000万円を使ったのであれば、1000万円以上のリターンが次の大規模修繕までに得られなければ、その大規模修繕は失敗です。
(本書のp3~p4より引用)
この本を読むまで私は大規模修繕は建物の寿命を延ばすためだけの物だと思っていましたが、リターンも加味して計画すると大規模修繕に前向きな気持ちになりますね。
アパート長期修繕計画作成の参考になるサイトの紹介
民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック(国土交通省発行、pdf)
サイト:https://www.mlit.go.jp/common/001231404.pdf(リンク先はpdfで開きます)
建物の劣化の状況写真が掲載されており、給排水管や外壁のクラックの状況などの不具合の一例を知ることができます。
赤サビ具合にはびっくりします。
また、RCや木造アパートの修繕時期・費用のイメージ図が掲載されており、視覚的にもわかりやすく説明しています。
おわりに
これからのアパート経営では建物の維持・保全も入居者へのアピールになるのではないでしょうか。
賃貸物件に慣れた入居者は管理会社選びもお部屋選びの基準になっているそうです。
価値を高めて入居者に選ばれる物件になれば経営も安定しますね。
また、売買の際に過去の修繕履歴があり、かつ将来の修繕計画もあれば、買い手も安心します。
お手すきの際に長期修繕計画を作成してみてはいかかでしょうか。
そして賃貸住宅の大規模修繕積立金の損金算入制度を利用しましょう。